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広島高等裁判所岡山支部 昭和48年(ラ)1号 決定

抗告人 五十嵐洋子(仮名)

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は抗告人の負担とする。

理由

抗告人は、「原審判を取消す。本件を岡山家庭裁判所に差戻す。」との決定を求め、その理由の要旨は、原審が事件本人池田保夫につき準禁治産宣告をした際、事件本人の保佐人として、その妹であり、事件本人と永年生活を共にしてきた抗告人を不適格者と認め、事件本人と身分関係のない愛川又三郎を保佐人に選任したことは不当である、というものである。

しかし家事審判法一四条は、審判に対しては、最高裁判所の定めるところによつて、即時抗告だけをすることができる、旨定め、これにより家事審判規則三〇条、二七条は、民法七条に掲げる者が準禁治産宣告の審判に対し即時抗告をすることができる、と規定しているが、右趣旨は準禁治産宣告に不服のある前記該当者に即時抗告の権利を与えたものであり、右宣告がなされた場合に保佐人に何人を選任したかに関して即時抗告を認めたものではないと解するのが相当である。

本件は抗告人の申立によつて準禁治産宣告がなされたものであるから、抗告人の保佐人選任についての即時抗告は、前段の理由により、不適法なものである。

よつて本件抗告を却下し、抗告費用を抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 辻川利正 裁判官 永岡正毅 熊谷絢子)

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